卒業アルバム

わたしの記憶

卒業アルバム

私は中学に入り、初めて新聞配達のバイトをしました。そこに私と友達が入り、女性は他にいませんでした。バイトをしているのは中学生から専門学校に通う学生のみでした。女子が二人しかいないため、みんな優しく接してくれていました。

そのなかでも整備士を目指す専門学生「えった」には妹のように可愛がられました。ジュースの差し入れや、バイクで迎えに来ては、海に連れて行ってくれたり、一人暮らしをしている部屋に招いてくれたりしてくれた。私は優しいお兄ちゃんのような存在ができて、とても嬉しかった。

ある日「えった」は高校の卒業アルバムを新聞屋に持ってきて見せてくれた。ちょうど「えった」のクラスを見ていたときに目にとまった人物がいた。「この人は?」とたずねると「今も同じ専門通ってて、別の営業所でバイトしてるよ。知らなかったっけ? ○浜はたまに、ここにも来てるよ〜」と教えてくれた。その後も「えった」に話しかけられていましたが、耳に入ってこないほど、アルバムに写るその人から、目が離せなくなっていた。

それからすぐ、外からそこそこの音量でB’zの曲が聴こえてきて、車が新聞屋の目の前で停まった。降りてきたのは、浅黒い肌に白いTシャツを着た男性が「おー!えったー!」と笑顔を見せながら中に入ってきた。

「えった」は私に「ほら、今言ってた○浜だよ〜」と、そしてその男性に「バイトの〇〇ちゃん」と私を紹介した。このとき私はすでに、その男性に恋をしていた。

それから「えった」繋がりで、その男性が勤める営業所と交流するようになり、会う頻度も増え、どんどん彼に夢中になっていきました。

そのことをバイト仲間の友達に話したところ、「私も彼のことが好きで‥」と思ってもない言葉が返ってきた。正直とまどいましたが、イケメンだし好きになるわな〜と納得できた。そして揉めないように、二人で2つの条件を考えた。

告白はお互い好きなタイミングでしていいこと。どちらかが付き合うことになっても祝福すること。

こんな感じで友達と具体的な約束を交わしていたものの、彼がすごい大人に見えていて、セーラー服を着ていた私には見ていることしかできなかった。

しばらく経ち、夏祭りの季節になり、集会所で太鼓や篠笛、チャッパの練習で参加者が集まりました。私は篠笛の練習で参加。そこに、たまたま憧れの彼が通りがかり、私に気づきバイクを停め、話かけてきてくれた。有頂天というかドキドキして、なんの話をしたか覚えていませんが、1ミリでも彼に近づきたくて体を寄せた。

そのとき左足のふくらはぎの外側に、衝撃的な痛みが走り‥。どうやらマフラーに自ら肌をくっつけてしまい火傷をしたようでした。ギャー!と叫びたい程ほんとは痛かった。でも自爆でダサいし、話しかけたせいで火傷したと彼が気にしてもイヤ。なんとか痛みをこらえ、平然を装い会話を続けバレずに済んだ。

それからしばらく経ち、夏祭りも終わり火傷の水ぶくれも治った。火傷の跡が残り、見るたびに彼を想う気持ちが膨らみました。モヤモヤしていて限界がきたので、彼の住むアパートの向かいにある公衆電話から告白しようと決めた。

そしてある日の学校帰り、セーラー服を着たまま受話器を握った。

「もしもし? ○浜さんですか?○○ですけど‥」「○○ちゃん?どうしたの〜?」「お話しがあって‥」しばらく沈黙し、もういいや、当たって砕けろ! と心の中で呟き 「○浜さんのことが好きです!私のことどう思ってますか?」少し間があり「んー。なんとも思ってないな〜。まぁ、でも付き合ってみる?」と軽く言われ混乱。

その後なにを話していいかわからず、とりあえず目の前で電話をしているのを伝えた。すると窓を開けて手をふりながら「部屋においで〜♪」と笑顔で誘ってくれた。

言われるまま部屋に入ったものの、照れくさ過ぎて顔を上げることができなかった。そんな私の様子を面白がり、彼は下から顔を覗き込んで「えったは○○ちゃんのことが好きみたいだけど、いいのかなぁ〜?」と笑った。

この告白から、彼のことを急速に知ることになるのですが、歴代の中でワーストワンの彼氏だと、後に気づきます。長〜くなりそうなので、その話はまたの機会に書くことにします。

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